もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 優史の身になにか恐ろしいことが起きている──。

 指先から血の気が引いていくのを感じながら、こういうときにどうするべきだったかを思い出した。

 駅前の小児科は定休日だった気がする。そもそも小児科でいいんだろうか。耳を押さえているから耳鼻科? でも原因がわからないし、やっぱり小児科? ほかにはどこがあるだろう。ひと駅先の大学病院まで行く? 大げさすぎ? 連れていくまで優史は我慢できる? こんなに大泣きしているのに我慢させていいものなの?

 必死に考えを巡らせていたのは、きっと時間にすればほんの数秒だっただろう。

 ふと以前蒼史さんから聞いた話がよみがえった。

< 38 / 281 >

この作品をシェア

pagetop