もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
「お母さん、なんの準備もなく来て大変だったでしょう。息子さんは見ておきますから、一階の売店で飲み物でも買ってきてはいかがですか?」

 気遣われているのは伝わる。でも、優史の傍を離れて大丈夫なのだろうか?

「ですがご迷惑をおかけするわけには……」

「せっかく熱が下がっても、お母さんが倒れてしまっては意味がありませんよ」

「……そうですね。では、お言葉に甘えさせてください」

 ベッドに横たわった優史は、先ほどの騒ぎなど嘘のようによく眠っている。

 手の甲に刺さった点滴が痛々しく、胸がしめつけられた。

「お母さん」

 病室を出ようとした私に、看護師がそっと声をかけてくる。

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