もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
「お母さんが悪いわけじゃありませんからね」

 彼女の目に映る私はどんな顔をしていたのだろう?

 なにも言えなくて再び頭を下げ、今度こそ病室を出た。



 優史が運ばれたのは家の最寄りからひと駅離れた大学病院だ。

 先進医療を実施しているそうで、県をまたいでやって来る人も多いと聞いている。

 病院名が駅名になるほど有名な場所だけど、私がお世話になるのは初めてだった。

 ……私が悪いわけじゃないと言ってくれた。でも、本当に? もう少し早く気づいてあげられたら、あんなに優史を苦しめずに済んだんじゃないの?

 小さくてやわらかな手に刺さった点滴。泣き疲れて赤くなり、涙に濡れた頬。

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