もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました

 もし私が思い浮かべている人だったら?

 どんな顔をすればいいかわからず立ち尽くしながら、うしろにいる人物に全神経を集中させる。

「申し訳ございません。彼も悪意があってしたことではないんです」

 それはなんとなく話していて察した。言いがかりをつけようと思っていたわけではなく、彼にとって私は本当に怪しい対象だったのだろう。

「い、え」

 なにか言わなければおかしいと、声を必死に絞りだす。

 私が発したのはたった二文字だったのに、背後で息を呑む気配がした。

 いきなり肩を掴まれて強引に振り向かされる。

「柚子か?」

 質問している割には確信した言い方だった。

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