もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 それも可能な限り早く。

 胸に手をあてると、まるで焦るように心臓が激しく脈打っていた。



 なにも買わずに優史のいる病室へ戻ると、かわいい息子はまだ夢の世界にいた。

 忙しいにもかかわらず、ひとりになる時間をくれた看護師に礼を伝える。

「すみません、ありがとうございました」

「いえいえ。またなにかあったら言ってくださいね」

「はい」

 仕事に戻った看護師を見送り、ベッド脇の椅子に腰を下ろす。

 優史の寝顔は穏やかだった。頬を緩め、ときどきむにゃむにゃと口を動かしている。

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