もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 もしもふたりのやり取りを聞いていなかったら、『病室に行かない方がいい』なんて言い方をし、説明してくれない蒼史さんを冷たい人だと思ったかもしれない。

「少し話せますか?」

 思いがけず声をかけられ、驚いて考える前にうなずく。

 私の隣に座った蒼史さんが小さく息を吐いた。

「手術について改めて大和さんと話をしました。かなり難しい手術になることも、元通りの生活が叶わないかもしれない可能性についても」

「……はい、少し聞こえました。丁寧に説明してくださってありがとうございます」

「当然のことをしたまでです。納得いくまで患者と向き合うのが私の仕事ですので」

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