もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
「そういえば看護師さんから、先生はあまり昼食をとらないと聞きました。買いに行く時間も取れないなら、私が用意しましょうか? お弁当作りは得意なんです」

 大和のために尽くしてくれるこの人に私も力を貸したい、という気持ちからの申し出だったけれど、驚いたことにふっと笑われた。

「いや、失礼。謝礼を用意したいという方は少なくありませんが、弁当を用意すると言われたのは初めてですね」

 私を見た蒼史さんの口もとには、初めて見る微笑が浮かんでいた。

 笑っていると普段の冷たい印象が消え、ぐっと近寄りやすい空気になる。

 なぜか胸が高鳴って、頬に熱が集まるのを感じた。

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