もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 たしかに謝礼といったらお菓子やお金を想像するのが一般的だ。弁当なんて高校生でもあるまいし、感覚がズレているにもほどがある。

「すみません……」

「怒っているわけでは。初めて出会うタイプの方だなと思っただけです」

 また鼓動が大きく跳ね、顔の火照りを冷まそうと缶ジュースに口をつける。

 さっきまでよりも酸味がきつくなった気がして、少しむせてしまった。

「大丈夫ですか?」

「は、はい」

 背中を優しくさすられ、ますますいたたまれなくなる。

「どうして大和さんが私にあなたの話をしたのかわかる気がします。たしかに放っておけない人ですね」

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