もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 きっとこの姿が彼の本性なのだ。患者やその家族と接しているときはかなり気を遣っていたのだと痛感する。

「くだらないなんて……。私は真剣に八柳先生との未来を考えてるんですっ」

「必要ない。話がそれだけならば仕事に戻らせてもらうが?」

「待って、先生……!」

 女性が蒼史さんにすがり、腕を掴む。

 意外にも彼は女性を振りほどこうとしなかった。

 先ほど医者と患者の関係だと言っていたから、無体な真似ができないのかもしれない。

 そうなると困っている蒼史さんに対して女性の立場は有利すぎる。

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