おとなり契約結婚〜幼馴染の小児科医が推しを盾に結婚を迫ってくる件〜
家で着替えを済ませてきた千春は荷物をロッカーに置き靴を内履きに履き替えると、せっせと待合室と受付の掃除を始めた。
診察室と処置室は看護師の受け持ちなので、着替えを済ませた君代がやってくれる。
患者用のトイレを掃除し、床や窓、壁をぞうきんとモップを使って綺麗に拭いていく。
子供達はとっても好奇心旺盛で、時には大人が想像もしないような行動にでる。掃除をする時はどこを触っても大丈夫なように、隅々まで清潔にするよう心がけている。
掃除の仕上げに受付カウンターの前に置いてある『パオンマン』のぬいぐるみの首の位置を元に戻してやる。象を模したキャラクターは昔から子供達に大人気だ。
少しでも子供たちの不安な気持ちを和らげようと、カウンターの上はいつも様々なキャラクターで渋滞を起こしている。
掃除を終えた千春はカウンターの内側に入り、パソコンを立ち上げ今日の診療予約を確認し始めた。
「うわあ……。今日も予約でいっぱい」
今どきは個人クリニックでも事前にネット予約するのが主流だ。朝の七時から予約受付が開始されるが、いつもものの数分で午前午後それぞれ七十人の診療枠が埋まってしまう。
近隣には他に小児科の看板を掲げるクリニックがあるが、皆が皆、柳原こどもクリニックで見てもらいたがる。