おとなり契約結婚〜幼馴染の小児科医が推しを盾に結婚を迫ってくる件〜


「証人欄はどうするの?」
「君代さーん、由里さーん。ちょっとロッカールームまで来てもらえますか?」

 香月の呼びかけに応じた君代と由里がそろそろとロッカールームにやってくる。

「どうしました?香月先生」
「証人欄に名前を書いていただけますか?」

 突然見せられた婚姻届に二人は腰を抜かしそうなほどに驚いていた。

「え!?ふたりともとうとう結婚するの!?」
「いつの間にそういう仲になったの?言ってくれればいいのに!うわあ!嬉しい!」
 
(推しのブロマイド欲しさに結婚するなんて絶対に言えないな……)
 
 千春は余計な口を挟まないように沈黙を貫いた。
 二人はかわるがわるボールペンを受け取ると嬉々として証人欄を埋めていった。千春と香月に「おめでとう」と声を掛けていくと、それぞれ持ち場へと戻って行く。
 
「ところで香月くん。洋介先生には結婚するってこと言ったの?」
「今朝、診察が始まる前にな」
 
(だから、あんな素っ頓狂な声が診察室から聞こえてきたのか……)

 うおっとか、ひえーっとか、いつも冷静な洋介にしてはおかしな声が聞こえてきたから、てっきりネズミでも飛び出してきたのかと思っていた。

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