おとなり契約結婚〜幼馴染の小児科医が推しを盾に結婚を迫ってくる件〜
「香月くん本人にちゃんと確かめたんですか?」
「なにが言いたいの?」
「香月くんが大学病院を辞めたのにはちゃんとした理由があるはずです!私のためなんて馬鹿げてる!」
「それは……」
香月の名誉のためにも真田の誤解を解いておきたかった。香月は不純な動機で辞めたわけではない、何か考えがあって柳原こどもクリニックで働いているのだと。
「……二人ともそのくらいにしておけよ」
「香月くん!」
学会の会場の中から香月が出てくると、千春の鼓動が激しくなった。数日ぶりにまともに顔を合わせる。
「騒ぎすぎだ。ここをどこだと思っているんだ?」
会場の入口で口喧嘩していたら、人目につくのは当然だ。香月に叱責され二人ともシュンと項垂れる。
「真田がどうしても納得できないって言うなら……全部話すよ」
香月は観念したようにそう言うと、千春と真田をホールの外に連れ出した。
仁王立ちの真田と香月が向かい合う。
身の置き場に困った千春は香月の少し後ろに待機した。