おとなり契約結婚〜幼馴染の小児科医が推しを盾に結婚を迫ってくる件〜

「そんな……私は何も聞いていないわ!」
「及川先生が真田には黙っておくようにって……」
「どうして!?」
「……反対されるからだと」

 真田は怒りで顔を真っ赤にし声を荒らげた。

「当たり前でしょ!?及川先生が年間何人執刀してると思っているの!?それなのに退院して行った子供たちのことまで気にかけていたら、身体がいくつあっても足らないわよ!もう……!早く言ってくだされば私も手伝えたのにっ……!」
「新婚家庭に波風立てたくなかったんだろ?」
「それとこれとは別!」

 聞き捨てならない文言が飛び出してきて、千春は思わず香月に聞き返した。

「……新婚家庭?」
「及川先生から聞いてないのか?真田と及川先生は去年結婚したんだ」
「え!?」
 
 及川は千春の主治医をしている時には既に離婚しておりバツイチになっていた。そして真田は香月と同じ歳。ということは年の差十歳以上の年の差結婚……?

「てっきり香月くんと復縁したくて大学病院に戻るように迫っているのかと思ってた……」

 まあ、香月は大学病院に戻る前に先に千春と結婚してしまったわけで、作戦は無意味なものにはなってしまったが。
 千春の呟きに真田は不愉快そうにフンと鼻を鳴らした。
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