おとなり契約結婚〜幼馴染の小児科医が推しを盾に結婚を迫ってくる件〜
「本当は何日もかけてじっくり慣らしてやりたかったけど……。ごめんな。もう我慢の限界」
何日もかけて慣らされたら、今度こそもどかしさで息絶えてしまう。早く、溺れるほどの愛で満たしてほしい。
「力、抜いて……」
わざわざ言わなくたって、えも言われぬ虚脱感に支配された身体には力が入らない。
千春は己の心が望むまま初めてを香月に捧げた。初めては痛くてたまらなかったけれど、ひとつになれた喜びの方が遥かに優った。
「お願い……私だけを見ていて。私だけの香月くんでいて」
「ずるいなあ……ちぃは。これ以上、好きにさせてどうしたいんだ?」
千春への執着を裏づけるように口づけが深まっていく。
「ちぃは『特別』だ。ぐずぐすに甘やかして、たくさん可愛がってやる。一生俺だけのものだ」
あれほど嫌だった特別という言葉が、七色の輝きを放つ。極上の音色を聞いたかのように鼓膜が喜んでいる。
香月が度々口にしていた『特別』とはそういう意味だったのかと、すべてが腑に落ちた。
「ちぃ、愛してるよ」
香月の口から愛の台詞がいくつも紡がれていく。もう疑ったりしない。
香月にとって千春は確かに『特別』だった――……。