おとなり契約結婚〜幼馴染の小児科医が推しを盾に結婚を迫ってくる件〜

 結婚指輪が無事決まり、残すところはウェディングドレスのみとなった。
 二人は次の休診日がやって来ると、ドレスサロンを訪れた。
 ドレスサロンの中には真っ白なウェディングドレスがいくつもハンガーラックに飾られていた。見渡す限り、真っ白なドレスの山。
 この中から好みのドレスを選ぶのは至難の業だ。
 しかし、千春に限ってはウェディングドレスに関しては結婚指輪よりも選ぶのが簡単だった。
 
「これ!絶対これにする!」

 千春は一目見るなりあるウェディングドレスをぐわしと掴んだ。そのドレスはまさしく香月が持ってきたパンフレットで見たドレスと同じものだった。
 
「こんなにあるのに他のドレスを試着しなくていいのか?」
「クイーンローズは絶対に外せない!」

 千春が掴んでいるドレスには黄金塚歌劇団と縁の深い『クイーンローズ』がモチーフとしてふんだんに使われていた。どうしてもドレスを着なければならないのなら、このクイーンローズのドレス以外ありえない。

 香月はふんすと鼻息を荒くする千春に呆れながらもサロンの店員を呼び、ドレスの予約状況を尋ねた。

 幸いなことに千春が着ると言い張ったウェディングドレスの日程には空きがあり、めでたく借りられる運びとなった。
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