毒舌な航空自衛官は溺れる愛を捧げたい



 最初からこの質問はマズイ。

 お母さんは昴さんの元カノと一緒で、戦闘機パイロットに良い印象を持っていない。

 昴さんに対して失礼なことを言ってしまうかもしれない。

 口出しするなと言われたばかりだけど、ここはさっそく口を出させてもらう。

「私が働いているパン屋で……」

 あながち間違いではないことを言うと、お母さんは『まあ、パート先で知り合ったのー!』と終始嬉しそうだ。

 何かを感じ取ったのか、

「…………はい、俺、そこの息子なんで」

 昴さんは自分が自衛官パイロットだと名乗ることはなく当たり障りない返事をした。

 お母さんは私を無視して昴さんと話を始めてしまった。

「良いわね、良いわね、ロマンチックねー。で、お歳はいくつ?」

「三十です」

「普段はパンを焼いてるのかしら?」

「いえ、自分はまた、別の仕事をしていまして」

 これ以上昴さんに喋らせたら駄目だ。

 お母さんに聞こえないように、「もういいです」と伝えた。

「お母さん、もういいでしょ。昴さん明日も早いの。帰らなきゃいけないの」

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