毒舌な航空自衛官は溺れる愛を捧げたい



「朝6時の起床から始まります。ベッドメイキングでは歪みが少しでもあると、やり直して原因報告です。廊下を歩くことは許されず、いつも走りながら瞬時に移動していました。自分事に遅れを取ると連帯責任で反省文、腕立てです。基礎的なことは他にもまだまだたくさんありますが、そんな地獄のような日々を乗り越えられたのはやはり、なりたい理想像があったからです」

「は、はあ……?」

「果林さんが通っていた航空学校だってそうです。そもそも航空学生になるという時点の倍率は非常に厳しいです。仮に2年頑張り抜いて、フライトコースに進めたとしても辞めていく仲間がたくさんいましたし、辞めさせられたりもします。そういう人がほとんどで、パイロットになれる人なんて、ほんの一握りなんです」

「え? 今何の話をしているのかしら?」

「俺が言いたいのは、彼女の好きを、夢を、頑張りを、否定しないでほしいです。俺はいつも堅実な果林さんを誇りに思います」

「……昇さん、あなた……職種は? どこで働いてらっしゃるの?」

 お母さんの顔が引きつっている。

 「まさか、パイロットじゃないわよね?」と目が言っている。


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