毒舌な航空自衛官は溺れる愛を捧げたい
おばさんは「え? え?」と焦る顔で、私と久藤教官を交互に見ている。
私が航空学生だということは言っていなかったのに、今このやり取りで知り合いだということが気づかれてしまった。
久藤教官は私に優しい目を向けて「んな怯えた顔すんな。ただ忘れ物を取りに来ただけだよ。じゃあな」とだけ言い残し、お店を出て行ってしまった。
……久藤教官。
泣きそうな顔をしていた。
怒られて癒えぬ傷が私にあるように、教官も叱ってしまった罪悪感などあるのだろうか。
そう思うと何だか申し訳ない気持ちになる。
「えと、果林ちゃん……?」
未だ理解においついてないおばさんに、これまでの経緯をザックリと話をした。そして、「黙っていてスミマセン」と、頭を深く下げて謝罪をした。
おばさんはいつものように、「謝らないで!」と、頭を上げるように言い、
「昴が言っていた生徒さんはあなたのことだったのかもしれないわ。『俺が叱りすぎたから本来持てる力の半分も出せていなかった気がする。俺がアイツの夢を奪ったも同じだよ』って時折思い出したように言うのよ」
と、久藤教官のことを話してくれた。
「ごめんなさいね」と、おばさんまで久藤教官と同じく、今にも泣き出してしまいそうな目を私に向けた。