毒舌な航空自衛官は溺れる愛を捧げたい
久藤教官は意地悪をしたくて言ったんじゃない。
私がパイロットとして役目を果たすことができるのかを真剣に見てくれていた。それは一対一で指導してくれていたからこそ胸を張って言える。
「教官は悪くないので、気になさらないでください」
おばさんは久藤教官のことは、それ以上何も言うことはせず、「引き止めちゃってごめんなさいね。今日は上がって大丈夫よ」と言ってくれたので、今日のところはこのまま上がることにした。
「では、お先に失礼します。お疲れ様でした」
挨拶をしてお店を出ると、
「あ……」
久藤教官が私を待ち構えていたかのように立っていた。私を見るなり、「今終わったのか?」と話しかけてきた。
「は、はい。いつもはもう少し早いんですけど、今日はおばさんが教官に会わせたいと言ってくれて……」
「そうだったのか。ウチの親が余計なことをして悪かった。で、おまえこの後暇か?」
この後……は、特に用事はないけど……まさか、私を誘ってくれているんだろうか。教官と二人は緊張するけど、教官のプライベートを見てみたい欲が勝った私は、
「ひ、暇です……」
と、誘ってほしいアピールをする。
「よかった。じゃあ少し付き合ってくれ」
そう言われ、車で走ること一時間。連れてこられた場所はマンションの一室だった。
わけも分からず入ると、部屋のあちこちに戦闘機の模型が飾られていた。
「あ、あの……ここは?」
「部屋に入ってまで『ここは?』はねぇだろ。俺の部屋だよ。来客用のクッションはないから、そのソファーに座っててくれないか」