敏腕秘書による幼なじみ社長への寵愛
健全な男子としては、いつもそばに好きな女がいて、なかなか辛い状況になることも幾多としてあった。
けれども、理性を欠いて珠子の信用を失いたくないし、怖がらせたくない。

なにより今は社長になり邁進しているとき。

下手に動揺させ、仕事に支障をきたせたくない。
大切に守り続け、いつか自分の気持ちを伝えようとずっと心に決めてきた。

それなのに。

『ごめんね、お待たせして。体冷えてない?』

シャワーから戻ってきた珠子の無防備な姿を見て、タガがはずれた。

バスローブの胸もとははだけていて、下着は着用しているが、バストの谷間が丸見えの状態。
華奢な体つきにしては意外と豊満なのも、俺を激しく動揺させた。

『優介も早くシャワーを浴び』

なるべく見ないように注意して、バスローブの襟もとを直す。
自分のことを棚に上げて、男の生態について少しレクチャーすると、珠子は血相を変えて布団の中に潜り込んだ。

ちょっと脅かしすぎたかと、すぐさま後悔した。

けれども、子どもの頃から知っているからか、女性らしい体つきの珠子の姿に困惑したし、正直理性が吹っ飛びそうになったのも事実。

俺は暴走して珠子の信用を失いたくないからブレーキをかけたが、世間はこんな男ばかりじゃない。

仕事でだって、余計な出会いがある。
悪い虫がつかないよう細心の注意を払っているが
、これからは珠子自身もっと警戒する必要がある。

『オープン記念パーティーにぜひいらしてくださいね。それから、今度お食事でもしながらゆっくり話しましょう』

興味を持たれるだけでも厄介だ。
珠子のかわいさは、俺だけが知っていればいいのだ。

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