敏腕秘書による幼なじみ社長への寵愛
私と優介の出会いは二十五年前に遡る。
うちの母と古くから友人関係だった優介のお母さんが、暴力的な当時のご主人から逃げるように離婚した。
両親は金銭的にも精神的にもおば様を助け、長年にわたって支え、彼女は今、母のアシスタントとして働いている。
そういった縁で、小さい頃から私と優介はまるで兄妹のように育った。
私は優介にべったりだったから、小学校に入学したときなかなか馴染めなくて、男の子からからかわれたりで登校渋りがあった。
そのときおば様が『あなたは珠子ちゃんのそばにいて、なにかあったら守ってあげて』と優介に言い聞かせていたのを聞いてしまったことがある。
優介は素直に応じ、いつも隣にいてくれて、甲斐甲斐しく私の世話を焼くようになった。
私が優介を好きだと自覚したのは、小学校の高学年くらいの頃。
仲のいい女友だちができ、少女漫画から恋愛の話になった。
そこで、一緒にいると楽しくて、遊べないとさびしい。優介の笑顔が見たいし、彼がうれしいとこっちまで心がほっこりする。
そんな気持ちは恋なんじゃないかと気づいた。
彼の優しさに救われて育ってきた私は、感情に名前がつき、胸がすく思いだった。
優介は小学生の頃から空手を習い始め、全国大会で優勝するほど強くなり、見た目の華やかな容貌と相まって、女子から絶大な人気を得た。
学生時代はわりと硬派で真面目だったんだけど、彼の女遊びが激しくなったのはごく最近になってからだ。
どうしてしまったのか……。
ショックでなかなか立ち直れない日が未だによくある。
けれど、仕事に差し支えがなければ、私が口出しすることじゃないから。今日みたいに小言を伝えるだけで我慢している。
『大丈夫です、珠子さん。女房妬くほど亭主もてないって言いますから』
本当は、歯噛みするほど嫉妬している。
恩返しや忠義立てなど関係なく、優介と触れ合える女性が羨ましくて仕方ない。
そんな不毛な片思いを、何十年も続けている。
うちの母と古くから友人関係だった優介のお母さんが、暴力的な当時のご主人から逃げるように離婚した。
両親は金銭的にも精神的にもおば様を助け、長年にわたって支え、彼女は今、母のアシスタントとして働いている。
そういった縁で、小さい頃から私と優介はまるで兄妹のように育った。
私は優介にべったりだったから、小学校に入学したときなかなか馴染めなくて、男の子からからかわれたりで登校渋りがあった。
そのときおば様が『あなたは珠子ちゃんのそばにいて、なにかあったら守ってあげて』と優介に言い聞かせていたのを聞いてしまったことがある。
優介は素直に応じ、いつも隣にいてくれて、甲斐甲斐しく私の世話を焼くようになった。
私が優介を好きだと自覚したのは、小学校の高学年くらいの頃。
仲のいい女友だちができ、少女漫画から恋愛の話になった。
そこで、一緒にいると楽しくて、遊べないとさびしい。優介の笑顔が見たいし、彼がうれしいとこっちまで心がほっこりする。
そんな気持ちは恋なんじゃないかと気づいた。
彼の優しさに救われて育ってきた私は、感情に名前がつき、胸がすく思いだった。
優介は小学生の頃から空手を習い始め、全国大会で優勝するほど強くなり、見た目の華やかな容貌と相まって、女子から絶大な人気を得た。
学生時代はわりと硬派で真面目だったんだけど、彼の女遊びが激しくなったのはごく最近になってからだ。
どうしてしまったのか……。
ショックでなかなか立ち直れない日が未だによくある。
けれど、仕事に差し支えがなければ、私が口出しすることじゃないから。今日みたいに小言を伝えるだけで我慢している。
『大丈夫です、珠子さん。女房妬くほど亭主もてないって言いますから』
本当は、歯噛みするほど嫉妬している。
恩返しや忠義立てなど関係なく、優介と触れ合える女性が羨ましくて仕方ない。
そんな不毛な片思いを、何十年も続けている。