あのスーツ男子はカクテルではなく土の匂い

 「ごめんなさい、宗吾さん。今の方達プレスの人でしょ?私のせいで記事に何か書かれたりしたら……」

 「心配いらないよ、それより玲奈ありがとう。何より嬉しかった。すぐに着替えて出てくるからそこのベンチで待っててくれる?」

 「大丈夫よ。忙しいなら待ってるから、ゆっくりしてきて」

 「玲奈。ナンパされるなよ」
 
 また、ウインクしていなくなる。もう、そんなわけないじゃない。

 しばらくして、着替えた彼が出てきた。
 さっぱりした半袖シャツにスラックス。
 
 「ごめん、待たせた。臭くないかな?」
 
 「そんなこと気にしてたの?大丈夫よ。私、土臭い人好きですから」

 「玲奈。行こう」
 
 ぎゅっと彼が手を握ると裏の駐車場へ連れられていく。
 車に乗せられて、食事に行こうと言う。

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