あのスーツ男子はカクテルではなく土の匂い

 続々と出てくるお肉と野菜に胃袋も翻弄されて、満腹になった。

 高木さんに見送られて、彼の車に乗るとエンジンをかけて、すぐに発進した。
 そして、大きな公園の樹木の下に車を止めるとじっとしてる。

 「どうしたの?」

 彼を見ると、こちらに身を乗り出してくる。

 「今日はひとつ進ませて」

 そう言うと、私に覆い被さって、唇にキスを落とした。

 私の様子を見るように、一度キスを落とすと顔を覗く。

 私が特段驚いていないのを見ると、またゆっくり覆い被さってくる。


 今度はしっかりとしたキスをする。

 角度を変えて何度も。

< 41 / 63 >

この作品をシェア

pagetop