あのスーツ男子はカクテルではなく土の匂い
隣のビルの上って、私の行きつけじゃないよね?
最上階のバーがいつも行っているバーなのだ。
確かこのビル、二軒くらいバーがあるけど。
付いていくと、良かったー。
二階下のバーだった。
ところが、今日は貸し切りで入れないと言われてしまった。
日高さんが困っていたら、お店の人が二階上にもバーがあると教えてしまった。
信じられない。
断る間もなく、上に歩いて行ってしまう。
「ま、待って」
日高さんが、扉を開ける。
「いらっしゃいませ」
聞いたことのある声が迎えてくれた。
「お二人ですか?」
「ああ」
バーテン君の視線が痛い。
でも、さすがです。
私の顔色見て、すぐに知らないふりしてくれる。
カップル席に通された。
窓際のソファ。