ぼくの話をしようと思う



ぼくは奥さんに会ったことないけど、間違いないと思った。



だから思わず、何も気づかずぼんやり空を眺めている中園さんの横っ腹をドンッて拳で突いた。



中園さん、ウエッてなってさ。



でも、ぼくの顔からただならぬ気配を感じたんだろうね、何も言わなかった。



そしてそのまま、ぼくが黙って指差す方に、ゆっくり視線を向けたんだ。



そしたら、半分起き上がった体勢で、固まっちゃって。



ぼくは『中園さん』って小さい声で言ったんだけど、そんな外野の声なんて聞こえてないみたいだった。



おばあさんは、ゆっくりこっちに歩いてくる。



真っ直ぐに中園さんを見つめながら…。



だから、ぼくはそっと立ち上がって、その場を離れた。






その広場、すぐそばにちょっとした森があってさ。



ちょうどぼくたちが寝転がってたあたりに、いい日陰をつくってた。



ぼくは、その木に隠れるようにして、文字通り、陰ながら見守ることにしたんだ。







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