あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜
「で、結婚式だが」
「どうせなら、この子も参加してほしいな」

 里穂が自分のお腹を撫でれば、同意とばかりに慎吾も彼女の手の上に己の手をかさねる。

 まだ平らであるが、彼女の胎内には二人が愛し合った証が宿っている。

「俺もだ。慎里も弟か妹と一緒に盛り上げたいよな?」

 慎吾が聞けば、慎里もあう、と両手を振り上げた。

 当たり前だろ、と言う顔をしている我が子の反応に、里穂と慎吾は思わず顔を見合わせた。

「……常々思うんだけど、うちの子IQ高いんじゃない?」

 里穂が呟けば、慎吾も真面目な表情で同意した。

「里穂もそう思うか? 実は俺も思ってて」

 二人はぷっと吹き出した。

「親バカだね、二人とも」

「ああ。俺は息子バカ赤ん坊バカで、なによりも里穂バカなんだ」

 慎吾は慎里を膝に抱えあげ、里穂の肩を抱き寄せると彼女の腹に手を添えながら唇にキスを贈った。


 
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