あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜
蜜月と面談
 一週間もしないうちに、里穂と慎里との二人だけの生活に、慎吾はあっさりと馴染んでしまった。

 里穂と慎吾の間に蜜月とも言っていい時間が流れる。

 ……あの日から悲しい別離などなく。まるで、命を授かったことを喜び合いながら、挙式をして家族として過ごしてきたかと思えるほど。

 慎吾が、里穂と慎里の傍で笑ってくれている。


 慎吾の在宅ワーク期間最終日。
 夕ご飯を食べ終わると、慎吾はワイシャツにネクタイを閉めて部屋から出てきた。

 出かけるのかなと里穂が寂しく思っていると、彼はダイニングのテーブルの前に座った。

 メガネをかける慎吾に見惚れていると、彼はテーブルをトントンとたたいて里穂にも座るように示唆する。

「岡安里穂さん、面談を始めたいと思います」

 言われて背筋が伸びた。
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