「好き」って言ってよ!
(歓迎しているって、どこが?

仲良くしてくれているって、何が?)

声をかけても無視されて、挙句の果てには避けられていると言うのに、どうしてそんなことが言えるのだろうか?

「来年の春からは青葉くんも就職をするし、奈帆が会いに行ったら青葉くんは喜ぶと思うよ」

父にそう言われて、
「…はい」

奈帆はそう返事をすることしかできなかった。

会いに行ったところで避けられるだけなのに、無視されるだけなのに…“婚約者だから”と言う理由で毎回の顔あわせに連れて行かれる。

(もう嫌だ、どうすればいいの…?)

自室に戻った奈帆は両手で頭を抱えた。

(私はいつになったら“相馬青葉の婚約者”から解放されるの?

いつになったら“丸山奈帆”として見てもらえる時がくるの?)

いつまで経っても見えないこの状況に、奈帆はどうすればいいのかわからなかった。

 * * *
< 105 / 145 >

この作品をシェア

pagetop