猫はこたつで丸くなる。 私は君で甘くなる。

 トウヤだって別に、私に会いたくないわけじゃないことを知ってる。たまに外に出られる日は全て私に使ってくれてるんだもん。

 でも、やっぱり日常的に会えないのは辛い。辛いものは辛い。その辛さが、久しぶりに会うとますます高まってしまうのだ。

 だから、わがままになってしまうは言い訳だろうか。

「大丈夫だよ、分かってるから」
「なにが?」
「千歳が不安なのも、心配なのも寂しいのも。それでそう言うこと言っちゃうのも。直そうとしてるのも。愛想なんか尽かさないよ」

 トウヤの口から出てくる言葉は、まるで私を見透かした言葉のようであまりにも優しくて逆に胸を傷ませる。

「トウヤのせいだよ」
「俺のせいだねぇ」
「こんなに好きにさせたんだから」
「責任は取るよ?」
「私を甘くさせたのはトウヤだからね」

 振り向いて向き合えば、トウヤの目がキラキラと輝いてる。トウヤの鍛え上げられた胸板に顔を埋めれば、前よりも厚くなってる気がした。

 それほど、厳しい訓練に耐えているのだろう。

「トウヤ、あのね」
「ん?」
「私ちゃんと待てるよ、トウヤが結婚して一緒に暮らせるようになるまで」
「もう、そういう可愛いこと言うんだもんなぁ。犬の耳まで見えてくるんだけど」

 私の髪の毛を乱雑に乱しながら、ぐしゃぐしゃと撫で回す。その手が、好きだ。優しい瞳が好きだ。トウヤのせいで、私は犬系女子になってしまったらしい。

「こんなに甘くて幸せな時間、手放せないって」
「トウヤが甘いからだもん」
「そうだね、あ、マロ」

 こたつから出てきたらしいマロが、私もトウヤの間に丸まる。除け者にされたように感じたらしい。

 これはどちらに嫉妬してるんだろうか。

 マロの毛並みを撫でれば、満足そうに口を開いた。声は聞こえないサイレントニャーだろう。
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