婚活
やった!和磨。明日は部活休みなんだ。久しぶりに休みの日に会える。和磨の家に曲がる 路地の横を通り、主のいない部屋を見上げながら明日会える嬉しさを噛みしめていた。家に居るだけじゃなくて、何処か行こうかな。和磨とデートもしたい。でもきっと家で裕樹と話しながら、時間が過ぎていくんだろうな。何処に行っても混んでるし……。そんないつもと変わらない、和磨と会える休日を思い浮かべながら眠りに就いていた。
ピンポーン。
誰か来た……。こんな朝っぱらから誰だよ?宅配の人かな。人がせっかくいい気持ちで寝てたのに。安眠を妨害されて、寝返りを打ちながら布団を被った。
「おはようございます」
エッ……。
和磨?
「あら早いわね、和君。いらっしゃい。朝ご飯食べた?」
「あっ、はい」
「珠美。和君、来たわよぉ」
和磨ったら、何でこんな朝っぱらから……。時計を見ると、まだ九時になったばかり。起きあがって寝惚け眼のまま、取り敢えず部屋着の上にパーカーを羽織り階段を降りていくと、玄関に和磨が立っていた。
「和磨。ど、どうしたの?」
「お前、何て格好なんだよ」
「だってまだ九時だよ。寝てたんだから仕方ないでしょ?」
「はぁ……」
和磨が大きな溜息をついて私を見たが、そのまま靴を脱ぎ玄関からあがった。
「ちょっと来いよ」
「えっ?な、何?待ってよ。まだ顔も洗ってないんだから」
「そんなのは、後でいいから。とにかく来い」
「ちょ、ちょっと、和磨。痛いって」
和磨が私の手首を掴み、リビングへと入って行った。
「おはようございます」
「おぉ、和君。おはよう。早いね」
お父さんももう起きていて、リビングで新聞を読んでいた。
「どうしたの?和君。そんなスーツなんか着ちゃって、これから何処かに出掛けるの?」
「和磨。出掛けるの?」
せっかく今日は一緒にいられると思ったのに……。
「おじさん。おばさん。お話があるんですが、すみません。座ってもらっていいですか?」
「はい、はい。どうしたの?」
和磨の言葉にキッチンから母親が姿を現しソファーに座ると、父親も読んでいた新聞を閉じて母親の隣りに座った。すると和磨が手を引っ張って対面のソファーに私を座らせると、和磨も隣りに座った。
「和磨。何なのよ?」
何事かと思って和磨を見ると、両膝の上で拳を作る手に力が入っていた。
和磨?
「おじさん。おばさん。珠美を僕に下さい」
< 253 / 255 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop