君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 信じられない。
 そんなこと、軽く私の前で口にする。
 
 この人の神経どうかしてる。
 絶対一緒にいられないと決心できた。

 「わかりました。とにかくしばらく休ませて下さい。今日からお願いします」

 そう言うと、片づけて退社するふりをして、社長室へ。

 「どうしたね、古川さん」
 
 社長は私をソファに案内し、人払いをすると話すようにすすめてくれた。
 
 結局、社長も弘取締役には手を焼いているのだ。
 
 「社長、お願いがあります。今、弘取締役には退職願を出してきましたが、療養で休職するように言われました。実は昨日具合が悪く病院に行ってきましたが、あまり状態が良くないのと、環境を変えるべきと言われました。ご存じかと思いますが、公私ともに色々あり、心身共に限界です。弘取締役には内緒で退職とさせて下さい」
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