君がたとえあいつの秘書でも離さない
そういう関係か……。引き返すなら今か……。
考えれば考えるほど彼に会いたくなり、何もかも投げ出してそちらに行きたくなる。
深い関係になってから、こんなことになった皐月は大変だ。
でも、直也さんのようなことを匠さんはしないような気がする。
私のために、会社の取引を使ったりは絶対しないんじゃないかと思う。
そういう人には思えない。この間話していた様子を見ても会社経営というものを高校時代から深く考えている。
従業員を大切にしているし、公私混同はしないような気がする。
匠さんと会う日が近づいてきた。
金曜日の仕事が終わり次第会おうと言われて、もしかするとそういうことになるかもしれないと着替えを準備した。
すると、仕事で終わるのが遅くなると言うので、無理にその日にしなくてもいいのではと言ったのだが、どうしてもというので匠さん
の会社の近くのカフェで軽く食べながら待っていた。
すると、匠さんがエレベーターから出てくるのが見えた。女性秘書が付いてきている。
距離が近い。私だったら、もう一歩下がっている。