雪降る夜はあなたに会いたい 【上】
もう片方の胸に、吐息が掛かった。それに気付いた時には、もうその唇に含まれていた。
「はぁ……っ、あ――」
こんなの、知らない――。
身体が硬く強張る。それは、自分を繋ぎ止めているものを手放してしまいそうになる恐怖からなのか。連れ去られてしまいそうになるのを必死に抗うように身体に力を込める。
怖い――。
次々と押し寄せて来る身体を伝う波のような快感に怖くなる。
「力を抜け。おまえが、辛くなる」
膨らみの頂を口に含みながら喋るから、それがまた愛撫みたいで。懸命に込めていた力が抜けてしまう。
どうしても漏れる声をこれ以上聞かせられない――。
いつの間にか自由になっていた自分の指を噛んだ。
「……自分の指を噛むくらいなら、俺のを噛め」
その声に目を開くと、すぐ真正面に彼の顔があった。私の指を口から引き抜き、長い指を私の唇に当てて中へと入れようとする。
「だ、ダメです。あなたの指なんて、噛めな――」
「だったら、声を我慢するのをやめろ」
「で、でもっ……」
どこにも逃がさないというように私の身体はこの人の腕と脚で絡め取られている。
目の前にある、突き刺さすみたいな熱を孕んだ目が私を捕らえて。
どうしようもない緊張と、素肌を晒している恥ずかしさとで、ただ頭をふるふると横に振る。
「……こんなに、指、うっ血させやがって」
掴んでいた私の指を口に含んだ。私の指に生暖かい舌が滑るように触れる。その光景は、酷く淫靡で。
ただ指を舐められているだけなのにまた身体が震える。
私の指から唇を離すと、そのまま手のひらに指を入り込ませてぎゅっと握りしめた。
それに驚く。
「どうしたって、これからおまえに苦痛を与えるんだ。何も我慢なんてしなくていい。声だって出したいだけ出していいんだ。痛い分だけ俺に噛みつけ」
しっかりとした眉を少し下げて、困ったような顔をしていた。
「――どれだけおまえが痛がっても、やめてやれないから」
そう言って、再び唇を私の身体へと落とした。