雪降る夜はあなたに会いたい 【上】
「身体、大丈夫か? 昨日からあまり寝てないんだろ?」
心配そうに私を覗き込んで来る。
近い。
近すぎて、視線の置き場に困る。あたふたとする私に気付いているのかいないのか、彼の指が私の目の下をなぞった。
「クマになってるぞ。この後しっかり働いて稼がないといけないんだよな? そのためにもちゃんと休んでおけ」
「えっ……?」
あっという間に肩を引き寄せられ、気付けば彼の胸に顔を寄せるような体勢にさせられている。
「あ、あのっ」
前の晩は、もっと近づくようなことをしたというのに、どうしようもなく緊張してしまう。間近に迫った彼の胸を咄嗟に押して、離れようとした。
「いいから、少し寝ろ。今からなら2、30分は寝られるだろ?」
より強い力で引き戻されて、結局その胸の中にすっぽり収まっている。
「で、でも、これだと、緊張して、余計に寝られないです……」
肩を抱かれながら顔を覗き込まれて、いたたまれなくて眠るどころじゃない。
「じゃあ……」
彼の手が私の頭を自分の胸に引き寄せ、その手が一つに縛った髪を撫でる。
「お互い顔が見えない。緊張なんてしてないで寝ればいい。ちゃんと時間になったら起こすから」
「……はい」
どうして、こんなことになっているんだろう。この状況に心は全然追い付かないのに、包まれるように抱きしめられて身体は勝手に安心していく。彼の胸が温かくて、無意識のうちに疲れていた身体は、いとも簡単に眠気を連れて来て。私は、結局彼の胸で眠りこけてしまった。