雪降る夜はあなたに会いたい 【上】
ハッと目を開けると、天井が見えた。和紙で作られている灯りも見える。
あれ、私、どうしたんだっけ……。
身体に掛け布団がかけられている。身体の下にはふかふかの敷布団が。
私、寝てた――?
慌てて飛び起きる。見回すと、そこは寝室のようだった。隣を見ても、創介さんはいない。
ダイニングで夕飯を食べていて、それで……。
お酒を飲んで、いい気分になった。
ここまで、創介さんが運んでくれたの――?
せっかく旅行に来たのに、一人で寝てしまうなんて。
一体私は何をやっているんだろう。
緊張を解こうとお酒を飲み過ぎた。
二人で露天風呂に入るんだと思ったら、正気ではいられなくて。アルコールの力を少し借りようと思っただけだったのに……って、そうだ。
露天風呂――。
二人で入るって約束をしていた。
創介さんは……。
布団から這い出て、隣の和室を覗き見てみる。
部屋の灯りはついていないみたいだった。そこにも創介さんはいない。
おそるおそる和室へと足を踏み入れると、テラスに面した窓ガラスの傍に小さなランプが薄明かりを差しているのが見える。
木製の椅子に座っている創介さんの背中が視界に入った。その脇にある小さなテーブルには、お酒の瓶とグラスが置かれている。
窓の向こうを見ているようで、私には気付いていない。
何を考えて景色を見ているんだろう――。
窓の向こうには、闇の中テラスの先に置かれた一つの灯篭のような明かりがぼんやりと見えるだけ。
創介さんの背中を見ていると、不意に胸が締め付けられて思わず駆け寄っていた。
「すみませんっ。一人で寝たりして」
「……ああ、雪野。目が覚めたのか?」
ゆっくりと私の方に顔を向けてくれた。ランプの灯りで、創介さんの顔が翳って見える。
「ごめんなさい。私――」
「露天風呂、入れなくて……?」
あわせる顔がないとはこのことだ。
「……来い」
椅子に座る創介さんが私の手を引き寄せた。
創介さんの膝の上に座らされ向き合う体勢になる。