雪降る夜はあなたに会いたい 【上】
勢いよく背中を引き寄せられて、唇が深く重なる。
「ん……っ」
性急な手が私の頭を掴み、奥深くまで創介さんの熱い舌が入り込んで来た。
一人でいた時間もお酒を飲んでいたのだろうか。アルコールが私の口の中に広がって行く。
何度も角度を変えては、私の口内を埋め尽くして。
「ゆき……の……」
キスの合間に掠れた声で私の名を呼べば、愛撫のように私の肌を波立たせた。
理性も恥じらいも、すべて捨ててしまいたい。
そう思った瞬間に、唇を塞がれたまま私の腰を強く引き寄せられた。
その時、腰に回されているのとは違う手が、私の浴衣の胸元に入り込み勢いよく広げられた。露わになった肩に、創介さんの唇が強く押し当てられて痛いほどに吸われる。
「ぁっ……」
やっと解放された唇が、その刺激で大きな声を吐き出した。すぐに、大きな手のひらが、荒っぽく素肌に触れる。
「だめ――」
「こんなに身体を熱くしてるくせに、何がだめなんだ……?」
唇が私の肌を滑りながら言葉を零していく。
肩から鎖骨、その下へとゆっくりと動いて。
早く――と思わずにいられないはしたない欲望と、そんな自分を悟られたくないという恥じらいで、どうにかなりそうだ。
そこにたどり着くまではあんなに焦らすように時間をかけていたのに。唇が胸に触れた瞬間に、ビリビリと電流が走るような強い快感が身体を貫いた。
絶え間なく与えられる快感に、逃げようにも逃げ場のない身体はただ背をのけぞらせるだけだ。
「どうした……? もっとしてほしい?」
「ちが……っ、違い、ます」
無意識のうちにしていることで、自分の心が追いつかない。
「嘘をつけ。してほしいことを言え」
その手は、意思を持って意地悪に動く。
少しでも言葉を発すれば、それは絶対に喘ぎに変わってしまう。それが分かるからただ頭を振る。
「言えないなら、言わせるまでだ――」
私の腰を支えていたはずの大きな手のひらが、浴衣の合わせ目に入り込み太ももを這う。
今、触れられたら――。
もう既にそこは自分でも分かるほどに溶けきっている。
「待って、くださ――」
ごつごつとした指が脚の付け根に触れる。
恥ずかしくて、ふるふると頭を振る。アップにしてまとめたはずの髪が乱れるほどに身体を捩った。
「――自分が今、どんな顔をして、どんな格好をしているのか分かっているのか……?」
固く目を閉じて創介さんの肩にしがみつく私の耳元に、熱い息がかかる。
「し、しりません……っ」
「なら、見てみろ」
「――きゃっ!」
ただ耐えていただけの身体を、あっという間に反転させた。
真っ暗な闇を映す窓ガラスは、まるで鏡のようで。橙色の明かりが私の痴態を浮かび上がらせていた。
すぐに顔を背ける。
「いやらしくて、たまらなく綺麗だ。ちゃんと見ろ」
「いやです、恥ずかし……っ」
「恥ずかしくなんかないだろ。雪野を見ているだけで欲情する。俺をこんなにしてるのはおまえだ」
太ももに当たるものを感じれば、私の快感は更に増す。
創介さんが、私を見て感じている――。
その姿を見たくて、目を開いてしまった。そこにいたのは、見たこともない自分だった。
おくれ毛は頬に張りつき、胸元の浴衣の合わせ目は、片方だけが大きくはだけて胸を露わにしている。
私の決して大きくはない胸が、淫靡に形を変えて行く。そうしているのが創介さんの手なのだと思うと、私の身体はどうしようもないほど淫らに塗り替えられてしまう。
窓ガラス越しに、射抜くような鋭い視線とぶつかる。その目は、激しくて滾るように熱くて。私の耳元で囁きながら、じっと真っ直ぐに私を見ている。
「自分の姿を見て、感じたか……?」
その視線までもが、私の身体を犯していく。