アンコール マリアージュ
 「適当に座ってろよ。すぐ作るから」
 「ありがとう」

 真菜は、小さなダイニングテーブルの椅子に座って、拓真の様子を見守る。

 「へえー、拓真くん。すっかり料理上手になったんだね」
 「まあな。ひとり暮らしって、強制的に料理もしなくちゃいけなくなるよな」
 「うん。私もそれで、仕方なく料理するようになった。実家にいた時なんて、なーんにも出来なかったもん」
 「ははっ、俺も。さ、出来たぞ」

 拓真は、熱々の鍋焼きうどんを真菜の前に運んできた。
 
 「ありがとう!わーい、卵も入ってる。美味しそう」
 「熱いから、ヤケドするなよ」

 二人でふうふう言いながら、うどんを食べる。

 「そう言えば拓真くん。今日どこの店舗のヘルプだったの?」
 「ん?ああ。美しが丘だよ」
 「美しが丘…って事は、えーっと、マルグリット?」
 「それは葉山。美しが丘はミュゲだよ」
 「あー、そっか」
 「お前、いい加減覚えろよ。美佳ちゃんだって全部言えるぞ?」
 「そうだよね、えへへ。専務にも、テストするからなって言われてたんだった」
 「専務?」

 拓真は急に眉をひそめると、箸を置いた。
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