これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
どのパーツも最高素材を寄せ集めたと思わせてくる、ぷっくりとした唇に小ぶりでありつつも筋の通った鼻。
なのに透明感もあって、放っておけない危うさもあって。
一言で説明していいならば───“男の子はみんな、ああいうタイプが好きなんだろうな”。
そんなとき、高田さんをジロジロ見ていた存在たちがとうとう動いた。
「ねえねえ、君ちょー可愛いね!どこの高校?」
「映画観るの?良かったらさ、そのあとでいいからオレらと遊ばない?」
あんなことが本当にあるんだ…。
歩いているだけで声をかけられて、一瞬にして囲われてしまうだなんて。
制服を着崩した他校の男子高校生たちのなか、高田さんは「えー、もう。やだあ」と、そこでも誘うような声。
「っ、おい、あれ、」
「…なに?」
「いいのかよ、ナンパされてるぞ」
おかしい、この状況。
焦ったように立ち上がったのは勝吾くんで、落ち着いたように冷めた反応をしているのは三好くん。
「なら、俺の代わりに谷センパイが行きます?」
「っ…」