これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
どうしたらいいか分からないんだよね、勝吾くん。
もしここに私と三好くんがいなかったら、あなたは迷わず向かっていたはず。
でもこの状況でそんなことをしてしまったら不信感を生むだけだから。
「おまえ彼氏だろ。なんで助けてやらねーんだよ」
「…ああそうだった。俺が、彼氏だったね」
「は…?」
ポップコーンを私に預けた三好くんは、立ち上がった。
スタスタスタと変わらぬペースで向かっていくと。
「セレナ、なにしてんの」
「ナツくん!なんかこの人たちが通せんぼしてくるの~」
「ここ、通路なんで。やめてもらえますか、そーいうの」
あれはもう、言葉でどうこうじゃない。
三好くんが登場した瞬間に男たちは悟ったに違いないのだ。
そう、確実にルックスで蹴散らしてしまった感…。
勝てない、あれは無理だ、と。
「桜乃?もう入場できるって。俺たちも行くぞ」
「……うん」
勝吾くんが高田さんを心配したことよりも。
ああやって三好くんが高田さんを助けに向かったことのほうが。
ちょっとだけ。
ほんの少しだけ、胸が苦しかった。