これが恋だなんて、知らなかったんだよ。




《みんな揃ってるか?この樹海は1度入ったら抜け出せねえって噂だ…、いいか?紐をぜったい離すなよ…!》


《わかってるって!あと人数確認も必須だからね!》


《ああ。1、2、3、4……ん?あれ?確かユウヤが来れなくなったから3人で来たはず…だよな?》


《そ、そうよ…?4って、なに…?っ…!!きゃあああーーー!!!》



スクリーンいっぱいに映った目から入る恐怖と、スピーカーから流れてくる莫大な悲鳴。


たまたま上映されていたホラー映画を選んだのは誰だったかと。

思い出したならば即座に責めたい。



「っ!…あっ、こぼした…」



誰もが集中している静かな映画館だとしても、私の状況を把握してくれる人間は数少ない。


右隣の彼氏は、なんとホラー映画で居眠りを呆けることができる強者であり。

そして左隣には、私が肩をびくつかせるたびに「ふっ」と笑ってくる強者が座っているらしい。



「制服、濡れた?」



コソッと、問いかけてくる。



「…そこまでじゃないから、大丈夫」


「これ使って。今日はハンカチ持ってた」



< 93 / 267 >

この作品をシェア

pagetop