これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
《みんな揃ってるか?この樹海は1度入ったら抜け出せねえって噂だ…、いいか?紐をぜったい離すなよ…!》
《わかってるって!あと人数確認も必須だからね!》
《ああ。1、2、3、4……ん?あれ?確かユウヤが来れなくなったから3人で来たはず…だよな?》
《そ、そうよ…?4って、なに…?っ…!!きゃあああーーー!!!》
スクリーンいっぱいに映った目から入る恐怖と、スピーカーから流れてくる莫大な悲鳴。
たまたま上映されていたホラー映画を選んだのは誰だったかと。
思い出したならば即座に責めたい。
「っ!…あっ、こぼした…」
誰もが集中している静かな映画館だとしても、私の状況を把握してくれる人間は数少ない。
右隣の彼氏は、なんとホラー映画で居眠りを呆けることができる強者であり。
そして左隣には、私が肩をびくつかせるたびに「ふっ」と笑ってくる強者が座っているらしい。
「制服、濡れた?」
コソッと、問いかけてくる。
「…そこまでじゃないから、大丈夫」
「これ使って。今日はハンカチ持ってた」