これが恋だなんて、知らなかったんだよ。




どういうわけなのか、手が、離されない。

もう拭き終わったよ…?
私も抵抗してないよ…?


それなのに掴まれたまま、そしてしまいには繋いできた。



「っ、……、」



どうにかして逃れようとしても、逃してなんかくれない。

かと思えばスルッと力を抜けられてしまったりして、そうするとどうしようもないほどに寂しくなる。


だからきゅっと、意識しているなかでも握り返してみたりして。



「……やば、可愛いかも」



え……?
かわ、いい…?なにが可愛いの……?

三好くんの小さな言葉に私が恐る恐る反応するよりも先に、高田さんに取られてしまう。



「ん?かわいいって?」


「……いま一瞬映ったパンダ」


「パンダ?そんなの映った?」


「…うん。セレナ見てなかったから」



一応ずっと見ていた私は、言える。


三好くん。

パンダが映ったシーンなど、1度もなかったです。と。



「ナツくんナツくん」


「ああ、ポップコーンならあるよ」


「ううん。チュー、しよ?」



だめです。

それは映画館でするものではありません。



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