これが恋だなんて、知らなかったんだよ。




とたんに後ろめたい気持ちが背徳感や罪悪感になって私に流れてくると、手を無理やりにでも離したくなる。



「っ…、」



けど、そんなの許されたもんじゃない。



「はやく。今なら誰も見てないから」


「………」



ルール2は強敵だ。

あのルールを差し出されてしまえば、こういうときは黙りこむしかなくなる。


ただし優先順位は本当の恋人───だから。


そしてなぜか、ルール3までもが私に言いつけてくるようになった。


ルール3. 絶対に本気になってはいけない。



「ナツくん」


「…ソレ、鳴り止ませてからまた言って」



彼は本当の恋人から頼まれた欲求を、断った。


三好くんが言葉で指した“ソレ”とは。

ずっとずっとブーッ、ブーッ、と鳴り続けている高田さんのスマホ。


映画館へ向かっているときもそうだった。
上映されてからもそうだ。

彼女は誰とそこまでして繋がっているんだろう。



「…!」



彼が気づいてくれたかは分からないけれど。

震えるその手を、私ができる精いっぱいで握り返した。



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