乙女戦隊 月影 〜恥じらいの戦士〜
言い争いをしているあたしと、夏希の間を一瞬、光が走った。

「え!?」

気づいた時には、南館の横にある創立者の胸像が爆発した。


「ビーム兵器か!」

一歩も動けなかった九鬼のこめかみに冷や汗が、流れた。

いつのまにか、正門の前に、下半身を剥き出しにしたモロダシ・ダンが立っていた。


そして、そそりたつ×××をあたし達に向けていた。

「モザイクなしかい!」

あたしは、冷静な突っ込みに関係なく、×××の照準を、こちらに向けた。


「クッ!」

九鬼は唇を噛み締め、モロダシ・ダンとの距離を計り、絶望していた。

向こうの攻撃距離と、あたし達の攻撃距離が違い過ぎる。

「何とか!ビームを避けて、接近戦に持ち込んでみるわ」

覚悟を決めた九鬼が走ろうとした時、後ろから声がした。

「真弓!携帯、持ってきたわよ!」

蒔絵の携帯を、九鬼に頼まれて生徒会まで取りに行っていた加奈子が、走り寄ってきた。

突然の怪人の来襲に、蒔絵に返す暇がなかったのだ。

「それを、花町さんに!」

「誰?」

一瞬、加奈子は蒔絵がわからなかった。脱け殻になっている蒔絵に気付き、初対面だが…この子だろうと、携帯を渡そうとした。


「加奈子!」

助走に入った九鬼の真横を、光が走った。慌てて、振り返った九鬼の目に、加奈子の手から、煙が立ち上っているのが映った。

「熱い!」

加奈子は思わず、携帯を離した。

半分になった携帯が、アスファルトの上に転がった。

それが、放心状態の蒔絵の目にも映った。



その刹那、

がばっと立ち上がった蒔絵の顔に、眼鏡がかかり、

乙女グリーンへと変身させた。

それと同時に、グリーンの眼鏡からビームが放たれ、

発射したばかりのモロダシ・ダンの股間に当たった。

「うぎやあ!」

苦悶の表情を浮かべ、膝を落としたモロダシ・ダンに向かって、九鬼はダッシュした。
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