乙女戦隊 月影 〜恥じらいの戦士〜
「もらった!」

生身の体をカバーする為に、加速をつけた九鬼は、ジャンプして、膝をモロダシ・ダンのトレーナーで隠されている顔面に叩き込もうとした。

しかし、なんとすぐに立ち直ったモロダシ・ダンは、九鬼の膝をかわすと、そのまま…信じられない速さで動くと、唖然としているあたし達の横をすり抜け、校舎の中へと逃げ込んだ。

「チッ!」

舌打ちした九鬼は、着地すると、体を反転させ、校舎へと走り出す。


ビームを発射したグリーンは、それでムーンエナジーを使いきったようで、変身が解け、蒔絵に戻る。そして、破壊された携帯を手に取って、肩を落とした。


「結城さん!五月雨さん!やつの兵器は破壊したわ!今のやつは、ただの怪人!変身しなくても、戦えるはずよ!」

九鬼の言葉に、あたしと夏希が頷いた。




「あっ!ご、ごめんなさい…」

責任を感じ、携帯の前であたふたしていた加奈子は、遠ざかっていくあたし達の背中を見て、

「ごめんなさい!」

自分も、後を追うことを決めた。

手には、乙女ケースを持って。




「…」

破壊された携帯を握りしめた蒔絵の心に、怒りの嵐が吹き荒れた。

「ぶっ殺す!」

何に対してもやるきのない蒔絵が、初めて正義の為に(?)戦うことを決意した瞬間だった。

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