乙女戦隊 月影 〜恥じらいの戦士〜
校舎内を、お尻を振りながら、疾走するモロダシ・ダン。

だけど、誰も追ってこないことに気付き、足を止め、後ろを振り返った。

「そっちには、誰もいないわよ」

突然前から声をかけられて、はっとしたモロダシ・ダンは振り返った。

腕を組んだ九鬼が、廊下を塞いでいた。

「あなたの武器は、封じたわ。もう何もできないはず」

モロダシ・ダンは慌てて、来た道を戻ろうとしたが、

今度はあたしと夏希、加奈子が退路を塞いだ。

「袋のネズミね」

ゆっくりと構えながら、近づく九鬼は、蹴りを放つタイミングを計っていた。

焦るモロダシ・ダンのあそこが、怯えた猫の耳のようになる。

「おとなしく…」

九鬼が回し蹴りを放とうとした時、

あたしと夏希の間を押し退けれて、蒔絵が登場した。

「ぶっ殺すぞ!てめえ!」

目が血走った蒔絵は、怒りから人相も変わっていた。

突進してくる蒔絵のプレッシャーに、モロダシ・ダンはさらに怯え出し、逃げようとするけど、前に九鬼がいる為、その場で地団駄を踏んだ。

「死ねや!」

蒔絵の蹴りが、モロダシ・ダンの後ろから股間を蹴り上げた。

「い、痛そう〜」

御愁傷様ですと、心の中で合掌したあたしは、突然うっとなった。

廊下に、充満するガス。

どうやら、蒔絵の蹴りによって、モロダシ・ダンはおならをしたらしいかった。


「くさ!」

あたしと蒔絵は、鼻を摘まんだ。

なぜか平気な加奈子は、慌てて廊下の窓を開けた。


「蒔絵!九鬼!?」

おならの風力を得て、スタートダッシュしたモロダシ・ダンは廊下から消えていた。

至近距離から、もろに直撃を受けた蒔絵は、気を失って、うつ伏せに倒れていた。


「む、無念…」

無敵の生徒会長も、窓ガラスにもたれながら、崩れ落ちた。

「恐るべし…」

あたしは、鼻を摘まみながら、廊下中の窓を開けた。

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