乙女戦隊 月影 〜恥じらいの戦士〜
「くそお〜」

何とか臭いがおさまった廊下では、直撃を受けた蒔絵は戦線を離脱…

そばにいた九鬼もまた、大きなダメージを受けていた。

残るのは、変身できないあたしと夏希…そして、加奈子だけだ。


「ははは!」

いきなり笑いだしたモロダシ・ダンは、倒れている蒔絵を踏み越えると、あたし達の前に立ち、

「貴様達が、乙女戦隊月影だな?我が神がおっしゃったように、月がなければ、変身できないようだな!」

「くっ!」

妙に下半身を突きだして、えらそうに言うモロダシ・ダンに、あたしはなんかムカついた。

「神とは、誰のことだ?」

あたしの後ろにいた加奈子が、前に出て、

モロダシ・ダンの下半身を睨んだ。

「神は、神!生きることに悩んでいたわたしに、すべてを晒し!がんじがらめにされていた日常から、解き放ってくれた!絶対的なの存在だ!」

モロダシ・ダンは、激しく腰を振った。

その卑猥な動きに、一応…あたしと夏希は顔を逸らしたが、

加奈子はガン見する。

そして、口元に笑みを浮かべ、嘲るように言った。

「生えてもいないものを自慢気に!経験者のあたしに、偉そうに言うな!」

ヒーロー番組とは思えない台詞を吐いた加奈子に、モロダシ・ダンは少したじろぎ、

「き、貴様!大人の階段を上ったのか!」

「フッ」

加奈子は勝ち誇ったように、腕を組んだ。

「ち、畜生!」

モロダシ・ダンは悔しいさのあまり、片膝を落としかけたが、

何とか踏みとどまり、

「そ、そうだとしても!生えてないは、認めん!」

あれを突き上げると、

「わたしは、神の力によって、生まれ変わったのだ!よく見てみろ!」

「何?」

顔を近づける加奈子に、正直…あたし達は引いた。


「た、確かに!」

そこには、産毛が!

驚愕した加奈子の一瞬の隙を、モロダシ・ダンは見逃さなかった。

「エレファントアタック!」

あれが、顔を近づけていた加奈子の頬を強打した。

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