わざと手袋を忘れた。【ピュアBL】
 潰れた商店の屋根の下。

 雪が当たらないようにしながらふたりでバスを待っている。


 口元に手を当てて息を吹きかける。

 ちらっと横を見ると、隣にいる翔と目が合う。

「手袋、ないの?」
「うん、忘れた」
「またか、よく忘れるね?」

 もう何回も忘れていて、そのたびにキミが手袋を片方貸してくれる。そしてその手袋は、キミから遠い方の手に。

「うん。また、ポケットも貸して?」

 多分、この会話は5回目かな?

 手袋をしてない手はキミのコートのポケットの中。キミも手袋がない方の手はポケットの中。

 僕の手は、キミの暖かい手をぎゅっと握りしめている。

 手を繋いでいる時、キミはこっちを見ないよね?


 僕は見上げ、彼の赤く染まる耳を眺めた。
 そんな色してるのは寒いから?



 それとも――。
< 3 / 3 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:6

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

イケメン俳優パパ『生田 蓮』に恋をして――。

総文字数/29,226

恋愛(純愛)47ページ

表紙を見る
あの日の記憶を

総文字数/9,996

恋愛(キケン・ダーク)9ページ

表紙を見る
君のためのウエディングドレス

総文字数/7,353

恋愛(純愛)16ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop