わざと手袋を忘れた。【ピュアBL】
潰れた商店の屋根の下。
雪が当たらないようにしながらふたりでバスを待っている。
口元に手を当てて息を吹きかける。
ちらっと横を見ると、隣にいる翔と目が合う。
「手袋、ないの?」
「うん、忘れた」
「またか、よく忘れるね?」
もう何回も忘れていて、そのたびにキミが手袋を片方貸してくれる。そしてその手袋は、キミから遠い方の手に。
「うん。また、ポケットも貸して?」
多分、この会話は5回目かな?
手袋をしてない手はキミのコートのポケットの中。キミも手袋がない方の手はポケットの中。
僕の手は、キミの暖かい手をぎゅっと握りしめている。
手を繋いでいる時、キミはこっちを見ないよね?
僕は見上げ、彼の赤く染まる耳を眺めた。
そんな色してるのは寒いから?
それとも――。
雪が当たらないようにしながらふたりでバスを待っている。
口元に手を当てて息を吹きかける。
ちらっと横を見ると、隣にいる翔と目が合う。
「手袋、ないの?」
「うん、忘れた」
「またか、よく忘れるね?」
もう何回も忘れていて、そのたびにキミが手袋を片方貸してくれる。そしてその手袋は、キミから遠い方の手に。
「うん。また、ポケットも貸して?」
多分、この会話は5回目かな?
手袋をしてない手はキミのコートのポケットの中。キミも手袋がない方の手はポケットの中。
僕の手は、キミの暖かい手をぎゅっと握りしめている。
手を繋いでいる時、キミはこっちを見ないよね?
僕は見上げ、彼の赤く染まる耳を眺めた。
そんな色してるのは寒いから?
それとも――。