白杖くんは、恋を知った
「うっま!何これ、めっちゃうまい!」

その言葉を聞いた刹那、また胸がじんわりと温かくなっていった。



それから、星来さんとは連絡先を交換して、お互いの時間が合う時にたまに会うようになった。

星来さんは、バスケ部の練習や試合はもちろん、進学校だから模試なども多く、忙しい。そんな星来さんの日々の疲れが少しでも癒せたら、そんな思いから僕は会う時には毎回手作りのお菓子を渡している。いつも星来さんは、「おいしい!」って言ってくれて、その言葉が何より嬉しいんだ。

「よし、あとは生地を焼くだけ!」

カップケーキをオーブンの中に入れ、焼けるのを待つ。それを見ていたお姉ちゃんは、「ねえ」とどこかトーンの高い声で訊ねる。

「あんた、最近よくお菓子作ってるよね?何?好きな女の子でもできたの?」

「ち、違うよ!!」

すぐに否定する。「好き」そう聞いた刹那、胸がギュッと締め付けられる感覚がした。僕の体はどこかおかしいのかな?
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