再会から始まる両片思い〜救命士の彼は彼女の心をつかまえたい〜
飲みが再開し、みんな翌日も休みだと思うからかダラダラとしてしまい、最後には眠り始めてしまった。
終電も終わり、紗衣ちゃんもソファで丸まっているので帰るのは無理そうだった。借りた布団にくるまりすやすやと寝息まで立てていた。
橋口くんも床で寝ているし、加藤くんに至っては夏目さんのベッドで寝ていた。

「このまま泊まっていくといいよ。俺らは悪いけどベッドルームで寝させてもらうな。加藤も俺のベッドで寝てるし、紗衣ちゃんを運ぶのは申し訳ないから。だからふたりはここで寝てもらえるか?」

「もちろんです。すみません、紗衣ちゃんが寝ちゃって。終電まで帰ろうと思っていたのに」

夏目さんは橋口くんを揺すって起こし、ベッドルームへ促した。戻ってきた手には私の分の布団を手にしていた。

「いや、俺らも楽しくて飲ませすぎたよな」

「みんなと飲むのが最近の私たちの楽しみなんです。今日の鍋もずっと楽しみにしてたんです」

私たちを泊まらせることになり申し訳なく思っているのが彼の表情から窺える。彼の律儀な性格から独身女性を泊まらせるなんて、と思っているのだろう。早めに帰らなかった私たちにも非はある。かえって泊まらせてもらえてありがたいくらいなのに。

「じゃ、私片付けておくので夏目さんは休んでください。さっき手伝った時にお皿をしまうところはなんとなくわかったので大丈夫ですよ」

「いや、のどかちゃんにだけやらせるわけにはいかない」

彼はテーブルの上にあったお皿を片付け始めた。それを見て私もゴミを片付け、キッチンで洗い物を始めた。
寝ているみんなを起こさないようにキッチンの扉を閉め、私が洗うとなりで彼は食器を拭き始める。夜の静まり返った中、付き合っているのではないかと錯覚してしまいそうなくらいに近い距離でなんだかくすぐったい。
カチャカチャ、と食器を扱う音が響くだけ。
何か話さなきゃ、と思うが思いつかず黙り込んでしまう。
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