再会から始まる両片思い〜救命士の彼は彼女の心をつかまえたい〜

再会

あれから半年。
私は外科病棟の勤務から救急病棟へと移動があった。
毎日が緊張の連続だが、やりがいもある職場だ。
救急病棟の看護師は病棟だけでなく救急外来もシフトで担当をする。

今日は救急外来での当直の日だ。
3次救急の看板を掲げているが、発熱している人や怪我の人ももちろん来る。
そんな中、救急車の受け入れ要請が来た。

「救急隊です。搬送要請の依頼確認です。30代男性、交通事故で胸部の痛みを訴えています。右下肢の開放骨折もあります」

「今確認します」

周りを見渡すと医師が頷いていた。事務方にも声をかけるとベッドにも空きがある。

「受け入れ可能です。搬送お願いします」

私はすぐに受け入れ準備を始めた。
エコーやレントゲンをすぐに撮るのを踏まえ各所に連絡。開放骨折もあるのでオペ室にも一報を入れた。

しばらくすると遠くからサイレンが聞こえ始めてきた。

「来ましたね」

一緒に当直をしてる紗衣(さえ)ちゃんに言われ頷く。ゴム手袋をすると扉を開き、受け入れ体制を整えた。
医師も一緒に救急車の到着を待ち構えていた。
ドアが開くとすぐにストレッチャーが降ろされ、医師や看護師が取り囲み始めた。
救急隊員も申し送るため一緒に降りてきて医師に説明を始める。
私と紗衣ちゃんはすぐにモニターを装着、点滴ルートの確保やバイタルチェックを始めた。
医師もすぐに合流し、診察を開始するとやはり胸部の痛みは肋骨が折れている事からの肺損傷がありすぐにオペ適応と判断された。オペ室へ送る手配や治療でバタバタしている間にいつのまにか救急隊員は事務方と引き継ぎを行なって帰っていた。
私は救急隊員のことなど頭の片隅にも印象が残らず、目の前の患者に集中していた。
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